劇場版SAOの感想いろいろ(ネタバレ注意)

2017-03-05

 これは2017年2月18日に公開された「劇場版ソードアート・オンライン ―オーディナル・スケール―」の感想をまとめたものです。公開から2週間が経過したので、そろそろネタバレが投下されても許されるかなと思ってます。

 まず断っておくと、私は初期からのソードアート・オンライン(SAO)ファンです。初めてWeb小説なんてものを読んで、初めて買ったライトノベルがSAOで、ただのマリカやモンハンで遊ぶだけだった中学生が初めてオタク文化(?)に触れたのがこの作品でした。題材となったVR、そしてNERDLESという脳神経とデバイスを直結する技術に憧れて、医学部を受けていた覚えもあります。そんな人の感想であることを前提に置いておいてください。

・ざっくりした感想

 とりあえずSAOファンとして最高の映画でした!一応、SAOが初めての人でも楽しめるように構成されているので完全な予習を必要とするわけではありませんが、やっぱりSAOを知っていて、SAOが好きであればより楽しめる内容でした。

 涙腺ガバガバでも映画館では泣かないようにと努めている私ですが、ラスボス戦で放たれたアスナのマザーズロザリオのシーンは流石に涙が出ました。本当にユウキは偉大です。あとはSAOの中ではシノン(朝田詩乃)が大大大好きな私には、ALOの部屋着シノンとか夜の私服の詩乃とか胸のペンダントとかカラオケの詩乃とかヘカートの轟音とか最高でした。本当に詩乃のんはかわいくてかっこいい。

 しかし、今回の劇場版SAOは良くも悪くも「現代」だったと思います。オーグマーの使われ方とかUIとか、もともとSAOが持っていた遥か未来の超技術、SF感のようなものはそれほどありませんでした。(NERDLES自体がぶっ飛んでいますが。)そのため、geekな人たちには物足りないなと思ったのも事実です。ですが、この映画が一般の人にも広く受けいれられるよう描くのはこの程度で十分なのかなとも思いました。

 たとえ「現代」であってとしても、アニメ2期とアニメ3期として制作されるであろう、原作9-18巻で描かれた長編「アリシゼーション編」をつなぐ部分として必要だったと思います。超技術が描かれて且つ物語としても中身の濃いアリシゼーション編に向けて、ALOやGGOから救援に駆けつけるプレイヤーたち、まだ姿を見せ続ける茅場晶彦の存在、最高峰トップダウン型AIを生み出そうとした重村教授、そして最高峰ボトムアップ型AIを生み出そうとするラースの存在など、アリシゼーション編に至る欠片が描かれたように思います。超技術といえば、ユイの万能さというか超AIっぷりが凄いですよね。AIはあそこまで到達してくれるのでしょうか…

 観た人の感想としてチラホラSAOが「SugoiAsunanoOppai」と言われていたように思います。閃光さまの胸の描写もさる事ながら、アスナとキリトの愛情というかイチャイチャが沢山描かれていた気がします。土日だと小中学生もたくさん見に来ていましたし、正直、これはやりすぎでは???と思ったりもしていたのですが、これもアリシゼーション編への布石なんだ…きっとそうだ…と思って壁を殴りたいと思います。私はリーファの胸から飛び出るユイのシーンでALOを感じていました。あっぱれリーファのおっぱい。

 ともかく、SAO好きの私にとっては最高の映画でした。VR/AR/MRが好きな私としても、AR(MR)が実現できる近い将来の想像をだいたい表現してくれていたので、満足しています。(SAO好き補正はあると自覚していますが)ぜひ、アリシゼーション編も6クールぐらい使ってしっかり描いてほしいなと思います。そして、このような未来が実際に訪れてくれますように、と。SAOにはARやVRデバイスのキモズムの壁を超えるための作品になって欲しいところです。

 あと、劇中で2人がイチャイチャ流星を見ていた堂平山が876mで、調べたら実在していて876mだったのは、数字3桁のプロダクションで働く身としてはグッと来ました。ゲーム買おうかな…

 

・「ARとVRの違いを教えてやる」という台詞

 次に印象に残っていた台詞と、物語のテーマとなっていた部分について。今までVRを題材としていたSAOですが、書き下ろしとなる劇場版ではARを題材としています。特に劇中ではARとVRの違いが表現されていて、ARマシンとして物語に出てきたオーグマーは、普及していたVRマシンのアミュスフィアと多く比較されていたと思います。これはARやVRといった技術が一般からも注目を集めはじめた今現在にドストライクだなあと思うとともに、とても現実的だなあとも思いました。なぜなら、もう数年で実現できるかもしれない可能性が詰まっていると感じたからです。

 もちろん、オーグマーのように軽量で扱いやすい高機能ARデバイスが技術的に実現するのはもっと先でしょう。既にMicrosoftのHoloLensという開発者向けAR(MR)デバイスがありますが、まだ一般人がどうこうできるレベルではなく、製品版となるのはもっと先、もしかしたらSAOの舞台である2026年頃かもしれません。しかし、人工知能、ディープラーニングを用いた機械学習で飲食物のデータをとって集計したり、複数の企業と提携したクーポンや割引制度、店舗ごとのサービスなどは既に実現可能なのではないでしょうか。(それをARデバイスでやる、というところに壁があるのでしょう…)劇中では、オーグマーは経産省が大々的に支援しているプロジェクトだと語られていました。その規模で人やお金が動けば、本当に実現できるんじゃないかと思っています。(そもそもSAOではザ・シードを含め、VR空間でのインフラが整備されているという大前提も忘れてはいけませんが。)

 そして「ARとVRの違いを教えてやる」という台詞は、序盤にランク2位プレイヤーのエイジによって発せられたものです。SAO生還者でありVR戦闘には慣れているクラインらギルド風林火山とのAR戦闘(というか生身の殴り合い)で、強化スーツを着ていたエイジが一方的に倒していくシーンでした。

 オーグマーでのARゲーム、オーディナル・スケールでの戦闘は、見えている映像は違うものの生身の身体を実際に動かしています。そのため、脳からの信号を直接拾ってVR空間内のアバターを動かしているVRゲームとはもちろん違うでしょう。劇中の色々な所で触れられていますが、本人が運動不足だったら当然身軽に動くことは出来ませんし、男女の運動能力差だけみてもARゲームの難易度は相当に変化すると思います。もちろん、それも込みで面白いのがARゲームなのかもしれませんが。しかも、劇中でエイジが生身の身体に物理的に攻撃し怪我をさせるなど、何かあった時にARゲームでは生身の身体へ影響を引き起こしやすいと考えます。確かに、フィットネスに活用したり、現実に付与する情報レイヤーとして扱うには、覚醒状態で扱えるARデバイスが向いていると思います。しかしながら、ARでオーディナル・スケールほど身体を動かすゲームには限界があると思います。また、ポケモンGOでも話題になりましたが、現実ではフィールドとなる道路封鎖や公共施設、公園の使用も難しそうですし…

 劇中のMMO STREAMという情報番組では、オーグマーとARゲームのオーディナル・スケールの流行により、VRゲームへのログイン数が減少しているという発表がされていました。人は新しいものに飛びつくのに加えて、現実から離れたがらない生き物だと思っています。一般的に人は、意識を別空間に飛ばすVRより、現実空間でのARのほうが、許せるし親しみやすいのでしょう。だからこそ、今の現代でも、VRが伸びずともARというものは爆発的に普及するのではないかと考えます。(ARからVRに興味を持って来てくれる人も増えるでしょう。)

 しかし、キリトやSAO生還者、その他のVRMMOプレイヤーの多くは、VR空間が自分の生きている場所だと思っているのではないか、存在意義はVR空間にあると考えているのではないかと思っています。一般人から言えば現実逃避になりますが、そういう人たちにはVR空間が現実なんだと思います。(アリシゼーション編ではそんな描写もありました。)やはりARとVRには決定的に違うものがありますし一緒にすることは出来ませんが、両者の間に壁は作らず、双方向の行き来は不自由ない状態で住み分けがされてくれないかなあと思います。

・さいごに

 今、ViveやOculus RiftのTouchコントローラを含め、実際に身体を動かせるVRゲームが流行しています。今までのゲームでは得られない体験ですし、身体を動かすのは健康的であり、それに引っ張られてVRが普及してくれるのは嬉しいです。しかし、身体を動かすVRゲームはどこか違うと思ってしまうのが、ゲームには効率化を求め無駄に動き回りたくない、引きこもりがちな性格のオタクだからだろうなと思っています。

 生身の身体を動かしていてはゲームのキャラクターは満足に動かず、それがゲームであることの快感が足りなくなります。そこを乗り越えるのがゲーム制作者の腕の見せ所なのかもしれませんが、やはり生身の身体を動かさなければいけないのが一番の障害だと思います。NERDLESが実現されることが待ち焦がれます。(どれだけ先の話か想像つかないため、無責任な考えであることは分かります。)

 まだまだ技術的に到達していませんが、家にいて動かずにどんなことでも出来るよう便利になっていくのがVRの素晴らしさだと考えます。ARはARで、人間である以上逃れられない生身の現実世界をより便利にできる素晴らしさがあります。オーグマーのような扱いやすいARデバイスでフルダイブも出来るようになったら完璧ですよね。

 特にVRはゲームだけのもので終わってほしくない。ALOのようにVR空間で集まって作業したいし、遊びたいし、仲間と笑いあえる日が来て欲しいと願います。